コルクとは

素材としてのコルクについて

収穫から生成過程まで

・ コルクは、コルクオークの木の樹皮を剥いで収穫したものです。コルクオーク(学名:Quercus suber)は、ブナ科コナラ属の常緑高木のことをいいます。

・ 収穫の時期は、成長が1年でもっとも活発な5,6月から8月までの間です。植樹後25年くらいの時間を経て、樹幹が地面から1.5メートルのところで70cm以上、木の高さが120cmまで成長してはじめてコルクの樹皮を採取します。

・ このようにコルクオークから樹皮を剥がす作業のことをストリッピングといいます。1回目のストリッピングのことをデボアといい、『バージンコルク』が得られます。収穫したコルクは、非常に不規則な構造と硬度を持ち、加工が困難です。

・ 9年後に2回目の収穫ができます。これが『セカンデイラ』で、1回目よりも均整のとれたコルクで比較的やわらかいのですが、それでもまだコルクストッパーには適していません。通常『セカンデイラ』は、粒状にして、断熱材、床材、装飾品などの他の用途に使用されています。

・ 3回目の収穫以降は、『アマディアルコルク』と呼ばれる最良のコルクになります。ここから150年間は高品質のコルクが採取できます。コルクストッパーに利用できるのは、3回目の収穫からです。ワインの品質を維持できるコルクが収穫できるまでに、40年以上かかることもあるのです。

・ その後樹皮の再生を待って、9年ごとにストリッピングを繰り返していきます。コルクの寿命は、平均して150年くらいで約17回ほど樹皮が収穫できます。1本のコルクオークから1回に平均40〜60kgのコルクを採取出来ます。
再生コルクの最初の層と、剥がされずに残った層は断続的に結合しています。専門的技術をもった人が伐採すれば木を傷めることはありません。

・ 樹皮を剥いだ部分は、ばら色から赤黄色に変色します。その後赤茶色になり、翌年には、灰色になり、外皮は硬くなっていきます。
伐採者は、収穫用の特別な斧を使います。刃を使って切り込み、ハンドルの端でコルクを剥がしていきます。

・ 収穫したコルクは工場の庭で6ヶ月間休養し最先端の処理(煮沸)を施した後、製品化されていきます。
良質のコルクを生産する世界トップのアモリン社では、このようにコルクを人の手による丁寧な作業と最先端の科学的技術成果を合わせて製品化されていきます。

コルクの構造をのぞいてみると

・ コルクは、現在のテクノロジーさえかなうことができない優れた特質を持った素材です。コルクは、1立方センチメートルあたり4,000万個の蜂の巣構造に似た細胞をもち、これらが気候の激しい温度変化から木を保護しています。その微細な細胞一つ一つが、遮音材、緩衝材であり、衝撃吸収性があります。

< コルクの化学成分表 >
成分名 成分内容
スベリン 45 コルクの弾力性を引き出す細胞壁の主成分
リグニン 27 総合化合物
多糖 12 コルクの触感の決め手となる細胞壁の成分
タンニン 6 色を決定するポリフェノール化合物
セロイド 5 コルクの防水性を確保する疎水性化合物
ミネラルウォーター
グリセリン
その他
5

 

コルクの特徴

フローティング

・ 体積の50%以上は、空気のようなガスで、1立方センチメートルあたりわずか0.16グラムの重さで、非常に軽く水に浮きます。

不浸透性(防水性、防湿性)

・ 細胞の壁に存在するスベリンおよびセロイドのおかげで、コルクは液体および気体に対しての不浸透性により、防水性、防湿性があります。

絶縁材

・ 各セル間に含まれている気体が互いを分離しているため、熱、音、振動に対する絶縁材になります。

柔軟性、圧縮性と形状記憶

・ 例えば、コルクストッパーを見ると、8億個の蜂の巣構造のセルで構成されていてセルの中にガスが充満しています。そのセルは柔軟性を失わずにそのサイズを半分に押し潰すことができ、元のサイズや形に戻ろうとする‘形状記憶’があリります。結果として、コルクストッパーは、ワインボトルのネック部分に均等に圧力をかけ、その圧力により優れた密閉性と、温度や気圧の変化に対して高レベルの耐性を持っています。

耐腐食性

・ コルクは、湿気、酸化および分解に対してに耐性があります。

成分分解性と再生可能性

・ コルクは100%生分分解性があり、リサイクル可能、再生可能な天然素材です。

対衝撃性、弾力性、耐摩耗性

・ その細胞は、顕微鏡的に見てガスクッションによって形成されていて、衝撃を吸収して、非常に快適です。
その性能は、関節や脊椎を保護し、足への圧力を軽減して快適で、健康に寄与します。

耐熱性と低燃焼性

・ コルクの耐熱性と弱い燃焼特性のおかげで、コルクオークは他の木よりも耐火性があります。コルクのゆっくりとした燃焼は、天然の難燃剤であり、火災に対する障壁となます。その燃焼は煙や有毒ガスを放出しません。

防塵、低刺激性

・ コルクは、塵を吸収しないので、アレルギーに対する保護に寄与します。

ソフトタッチ

・ コルクは触り心地の柔らかい製品であり、人の体温に非常に近い自然な温度なので、体感的に私たちは快適性を感じます。

コルクは、どんな地域で生育しているのでしょうか?


・ コルクオークは、地中海性気候の温暖で、四季があり、夏は乾燥し、冬は雨が多く、土壌が乾燥した地域に生育しています。コルクオークの森林は210万ヘクタール以上あると推定されています。ポルトガルにはおよそ736,000ヘクタールがあり、国有林面積の22.5%を占めています。世界のコルク生産量の約半分はポルトガルです。残りはスペイン、イタリア、フランス、モロッコ、チュニジア、アルジェリアです。

面積(ha) % 生産量(t) %
ポルトガル 736,775 34 100,000 49.6
スペイン 574,248 27 61,504 30.5
アルジェリア 230,000 11 9,915 4.9
イタリア 64,800 3 6,161 3.1
モロッコ 383,120 18 11,686 5.8
チェニジア 85,771 4 6,962 3.5
フランス 65,228 3 5,200 2.6
合計 2,139,942 100 201,428 100

(Amorin The Future is our Present 2016より抜粋)

コルクの特性

コルクオークには、利用できないところがない!

樹木の全ての部分を余すところなく経済利用できるという意味でもコルクオークは、注目に値します。

  • コルクオークの果実(どんぐり)は、家畜の飼料や食用油の原料として利用されています。
  • 木の葉も、飼料や天然肥料としての利用が進められています。
  • 刈り取られた木と老衰した木は、薪や木炭になります。樹木に含まれていたタンニンは、酸や様々な化学製品の原料になります。
  • そして、生産過程で生成されるたコルクウエストは、粒状に還元されて、また生産過程に戻ります。コルクの非常に細かい粒子さえも集めて工場のボイラーの燃料として使われます。
  • 最初の2回の伐採で収穫される樹皮(バージンコルク、セカンダリア)は、断熱材やフローリング材へ加工されます。
  • 収穫3回目からのコルク(アマディアルコルク)は、全てのコルク製品へと製品化されていきます。

コルクは、環境に配慮したリサイクル可能な天然資源

製造過程でもリサイクルされ、無駄が出ない!

・ コルクは、ウールが羊から刈り取られるように、木を伐採することなく幹から採取される環境に優しい製品です。良質なウールを得るには羊の世話が必要なように、良質なコルクを生産するには森林や木を管理することが非常に大切です。さらに全てのコルク工場から排出されたコルクは、全てリサイクルされ、無駄なく最後まで使われます。

コルクの持続可能性

生物多様性に貢献

ポルトガルのコルクオークの森林は、生物多様性のホットスポットです。

・ モンタドス(Montados)の森、わずか0.1ヘクタールの中は、世界的にも特に多くの絶滅危惧種生息する”生物多様性のホットスポット”です。スペインオオヤマネコを含む絶滅危惧種100種以上がいます。アマゾン、アンデス、ボルネオなどの、この分野における35の世界的なホットスポットの1つとして環境NGOによって認定されていす。

・ ポルトガルには、世界で最大のコルク森林地帯があり、コルクオークは国樹であり、13世紀から法律で保護されています。森林には、野うさぎ、ナベコウ、イベリアカタジロワシ、トビ、灰色モズ、クロハゲワシ、オオカミ、イノシシ、イベリアヤマネコなどの野生動物が生息しています。

・ “誰もが孫を気遣って、コルクオークを植えることの大切さに気づきはじめています。”
ー コルクオークの森林の生態系の価値に対する認識の高まりとともに、植林やその他コルク関連の優良事例の体系化を推進する取り組みにつながっています。

ウィスラーツリー

・ 世界で最も大きく、最も古いコルクオークは、ウィスラーツリーと呼ばれ、14メートル以上の高さに達する特別な意味を持つ神聖な木です。その名の由来は、その枝にやってくる数多くの鳥のさえずりの美しい音のハーモニーからきています。未だに現役でコルクの収穫ができ、厳しい自然環境から動物を保護して養い、肥料や灌漑にも貢献しています。

200以上の動物種と135種の植物種の棲む森

・ アレンテージョ平原のウィスラーツリーと同様に、地中海全土の何百万ものコルクオークは、希少種や絶滅危惧種の生息地であり、ユニークで壊れやすい生態系を支えています。理想的な生存環境をコルクオークの森に見つけたのは200以上の動物種だけではありません。1、000平方メートルごとに135種の植物種があり、その多くは医薬、芳香族または料理に使用されています。

世界の中でもユニークな生態系を構築

・ ポルトガルのコルクオークの森林は、地中海諸国の環境、経済、社会の肺のような役割を担い、自然や環境、人々を支えています。コルクオークは、侵食や砂漠化を防ぎ、コルクの弱い燃焼のために自然の耐火壁になります。根は雨水を保持し、重要な地下水流域を形成し、地球の深い部分から栄養分を吸収します。栄養分は葉へ運ばれ、その後土壌に戻ることで自然の肥料になります。

地球温暖化の抑制  (二酸化炭素の吸収と保持)

・ 私たちがコルク製品をを使用することで、製品を生産するために計画的なのストリッピングが行われ、コルクオークの再生が繰り返され、森林が生きていきます。自己再生することにより、コルクオークは二酸化炭素を吸収する能力を強化していくことになります。。剥がしたコルクオークは平均して普通の樹木の5倍のCO2を吸収しています。毎年コルク森林には1,400万トンの二酸化炭素が含まれており、気候変動の主な原因である温室効果ガスの排出削減に大きく貢献していると推定されています。

コルクは経済活動など人々の生活の基盤

コルクとワイン産業が形成してきた社会の柱

・ 何百年もの間、コルクオークの森林は環境、経済、社会の柱であり、南ヨーロッパや北アフリカの何千人もの人々の生活に重要な役割を果たしてきました。世界自然保護基金(WWF)によると、コルクやワイン産業を含むコルク樽の文化が、農業、林業、森林放牧、狩猟、経済活動の広い範囲で、地域社会の基盤となっているとしています。

人々の生活に根付いたコルクオークの森林

・ コルクオークの森林は、また薬草やキノコの収穫、蜂蜜と蜜蝋の生産、石炭生産、狩猟、牛の繁殖、バードウォッチング、観光と乗馬。そして、欧州連合(EU)の認定を受けた先住民食品の創出にもつながっています。

・ 7つの地中海コルク生産国では、10万人以上の人々が直接的または間接的にコルク森林により提供される経済に依存しています。

コルクの可能性、明るい未来

コルクの革新性

・ 古代エジプト人、ギリシャ人、ローマ人は、毎日の日常生活の中の必需品を作るためにコルクを選びました。現在、世界中の建築家、エンジニア、デザイナーは、コルクが環境に優しく天然素材であることに着目しその特性を生かし、想像力とR&D(企業の研究開発)とイノベーションの進歩により、建設、装飾、ファッション、ハイテク製品、自動車、医薬品、航空宇宙分野への利用を推し進めています。
”コルクは様々な特性が独特に結合した自然界のポリマー”、”コルクは、大きな可能性があり健康的な環境に貢献できる”などと期待されています。

付加価値のある製品を創造する鍵

・ 資源のよりインテリジェントな利用をますます重視する社会において、自らの経済を確保するだけでなく、種の多様性とCO2の保持にも貢献するコルクは最も持続可能な原材料です。さらに、人工材料、皮革のような動物製品、およびコルクの収穫とは異なり森林の伐採を伴う他の天然産物の代用品としての貴重な価値があります。

現在の新しいコルク・プロダクト

日常生活のためのインテリアデザイン

 

インテリア / 家具

 

衣服や靴などの装飾品

・ 今まで、コルクをつかったジュエリー・衣服・靴などがデザイナーにより生みだされてきました。数々の名門ファッションブランドが、コルクをコレクションに取り入れています。
・ サンダルや靴のソールなどにもコルクは使われています。

 

大規模なインフラ建設

・ コルクは、橋や高速道路、風力タービン、ダム、空港の建設に重要な役割を果たしています。

 

自動車などの輸送機関

・ ハイテク技術と組み合わせることで製品の性能、快適性向上することで、自動車の車内のインテリアに(メルセデスのF700プロトタイプ)、バスの内装部品、高速列車および飛行機に適用されつつあります。

 

天然芝

 

スポーツ

・ 野球や、サーフボード、ウィンドサーフィン、カヤック、ヨットなどでもにコルクは使われています。

 

これから未来へ向けてのコルク・プロダクト

新しい製品化への道

・ コルクの布地、コルクの紙、コルクのワイヤーはすでに現実化されています。近い将来、低アレルギー性の特性のために化粧品に粉末形態で使用されているかもしれません。コルクは耐衝撃性のために防弾装置としての実用化へ向けての試験が行われています。これからも、コルクの変容とその可能性についての発見は続くことでしょう。

宇宙開発分野

・ コルクは未来の物質です。宇宙開発の分野では、NASAとESAはまた、コルクと好適応性のあるパートナーを見つけ、それを宇宙船を覆っている熱シールドやプレートに組み込んでいます。

・ コルク複合材料のユニークな特性と、優れた”重量/技術性能比”により、熱シールド用のコルク断熱材は、すべての宇宙船の打ち上げと運転に重要な役割を果たしてきました。アモリン社は1980年以来、航空宇宙産業用のコルクモジュールを提供する重要な技術パートナーです。

“コルクは自然の泡であり、独自の特性の組み合わせを持つ泡です。”

グリーンな建築

コルクの内装材

 

コルクフローリング / 海外

 

コルクフローリング / 国内 1

 

コルクフローリング / 国内 2

 

コルクの外壁

・ コルクの今を感じていただけましたでしょうか?現在、コルクの特性を生かした製品が多角的に研究開発されています。コルクという素材は、広範囲に使える素材であり、複合素材としての可能性は、宇宙空間にまで広がることが印象的でした。
世の中には、最先端の科学的な素材が溢れています。その便利さを私たちは享受して現在の暮らしが成り立っています。でも肌に触れるもの、長く過ごす場所ーインテリアにおいて、素材は自然のもの、木が心地よく感じられます。その中のナチュラルで、サスティナブルな、暖かみのあるコルクフローリングは、未来へ向けてのマテリアルのように思います。
コルクフローリングを選ぶことで、コルクオークの森林が生き続けていくこと、そして生態系に貢献していることになります。
21世紀を生きている私たち日本人の暮らしと、遠いポルトガルのコルクオークの森は繋がっています。
(※ 資料は、全てアモリン社の資料を参照しました。)